パンクロッカーがアジアンヒップホップ88rising公演に行ってみた①

今話題の、US発アジアンラッパー集団88risingが来日するというので、1/10にZepp Tokyoに観に行ってきた。

一言で言うと、新しい時代の到来を感じたよ。

なんか、新しいムーブメントが広がっていく過程に立ち合えたような気がして、自分のことのように嬉しかった。
だって私はアジアンで、ジャンルや立場は違うけど音楽をやってる人間なのでね。

いまだかつて、黒人至上主義のUS HIPHOPシーンに、アジアのラッパーが殴り込みをかけたことがあったでしょうか?
私たち日本人が中国のヒップホップアーティストに熱狂したことがあったでしょうか?

答えはNOよね~。

私自身のことを話すと、私は「流血ブリザード」というパンク/ハードコアバンドでギターを弾いてるインディーズミュージシャンです。イギリス、カナダ、台湾のロックフェスに出演してツアーを経験し、それなりに現地のリアクションを感じたけど、ロックの本番であるロンドンでライブをした時は自分たちの実力はまだまだだと、思わざるを得なかった。というか、自分たちに限らず、本当の意味で欧米で受け入れられているアジア人アーティストがどれだけいるんだろうと。(だからイギリスで評価されてるBO NINGENは凄いと思う。)


でもカナダやアメリカでは、日本のハードコアパンクの評価は凄く高い。モントリオールではGISMやDEATHSIDEやLIPCREAMが好きだというパンクスによく会ったし、オークランドでは鋲ジャンに九州のKURO(白)のパッチを付けているパンクスをよく見かけたし、ここ東京でも新宿ANTIKNOCKまでGAUZEのライブを観に渡日する欧米人の多いこと多いこと…。

(2016年に行った、カナダ・モントリオールのライブスペースLOUDHOUSEの壁。

大阪のD-BEATバンドFRAMTEDや京都のWARHEAD、そしてLIPCREAMのロゴが描かれていて、日本のハードコアパンクに対する関心の高さが伺える)

ただ、そうやって評価されているのは、日本で既にレジェンドと呼ばれているバンドが比較的多い気がするのだ。

だから、20代のキャリアが長いとはいえない中国や韓国のラッパーが、ヒップホップの本場アメリカで、言葉の壁を越えてアジア人であることを個性として活動していることに、ワクワクしているわけです。
色々能書き垂れたけど、言葉の響きも含めてまず音がカッコいい。
Higher Brothers "We Chat"

彼らがこの曲でラップしている通り、中国はTwitterもインスタもフェイスブックも統制されていて自由に使えない国だ。(Youtubeも。) それなのに、今のヒップホップの主流のトラップというビートでラップしているし、英語も流暢に話せるのは凄いよね。 Higher Brothersやその所属団体88risingのことを知ったのは、同じく88risingに所属している韓国のラッパーKeith Ape(キース・エイプ)のMV "It G Ma"(イッチマ:忘れるな)を観たことがきっかけ。キースはマッコリの瓶を持って暴れ散らしてて、MV全体に漂う手作り感もカッコいいな~と思った! 2015年の正月にこのMVがYoutubeにアップされて、アジア人でトラップをやる奴がいるんだとバズったらしいけど、私がKeith Apeのことを知ったのは2016年。2015年の初めといえばちょうどソウルに遊びに行ってたから、もし知ってればKeith Apeが所属してたクルーCohortのメンバーのライブなんぞ行きたかったなと思う所存です。

Keith Ape(feat. JayAllDay, Loota, Okasian & Kohh) "It G Ma"

で、なんでKeith Apeが出てる"It G Ma"を観たかというと、このMVの最後に日本人ラッパーのKOHHが出てくるから!テニスプレイヤーの大坂なおみが、この曲のKOHHのヴァースを聴いて日本語を勉強してると言ってた(秀逸なリリック"やりたくないことやってる暇はねぇって言ってたマーシー/田代じゃない" のマーシーと田代が何者かはわからないと思うけど)くらい、このMVをきっかけにKOHHは海外でも知られるようになったそう。

KOHHは、ロック周りでも好きな人が多いけど、他の人がやったらダサく聞こえるんじゃないかと思うくらいストレートな日本語でラップするから、すごくわかりやすい。 日本でのトラップ先駆者とかファッションやタトゥーがイケてるとか、評価されてる理由はいろいろ挙げられるけど…個人的には、己を貫いてる感じがカッコよくてチェックしてる。88rising所属ではないようだけど、今回JojiとNikiが来日キャンセルになった代打を務めるのに最適なアーティスト だったと思う。


私はパンクやガレージロックを好んで聴いてきた人間で、別にヒップホップのヘッズではない。どっちかというと、ヒップホップ周りってオラついてる人が多そうで抵抗あったし、音楽的にもストライクというわけじゃなかった。でも、トラップという種類のビートは、カッコいいと感じてすんなりと受け入れることができた。ゆるい感じが「ダサカッコいい」オルタナ~ガレージ的な価値観で耳に入ってきたのかもしれない。 そして、そのトラップでラップするアジア人、特にHigher Brothers, Keith Ape, KOHHをパンクロッカーのような気持ちで私は見ているのである。(つづく)

millybison nihonzine -流血ブリザード ミリーのPUNK/HC/アジアンカルチャーレポ-

大阪育ち、東京住み、時々カリフォルニア飛びの3◎歳。 流血ブリザードというパンクバンドのギタリスト、ミリーまたの名はバイソン。 行きたい国を回ってロックし続けたいぐるぐる…そんな人生のチャレンジブログ。

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